そもそも植毛とは
植毛とは、薄毛や禿げた部分に自分自身の毛髪や人工毛を移植することで、髪のボリュームを回復させる方法です。植毛は、主に男性の男性型脱毛症や女性の薄毛に対して行われますが、外傷や病気、化学物質の影響によって毛髪が失われた場合にも使用されます。
一般的に、植毛には2つの方法があります。ひとつは、自分自身の毛髪を取り出し、移植する「自毛植毛」、もうひとつは人工毛を移植する「人工移植法」です。自毛植毛は、後頭部などの豊富な毛髪がある部位から皮膚を切り取り、1本1本丁寧に取り出して、薄毛や禿げた部分に移植する方法です。一方、人工移植法は、植毛用の人工毛を使用し、頭皮に穴を開けて人工毛を挿入する方法です。
なお、後頭部や側頭部から、自毛植毛のための株を採取する意味は、後頭部や側頭部は、AGAの影響を受けにくいことからです。
これは普段の生活で電車や人混みを見ていると、禿げるパターンはおでこか天頂で、後頭部や側頭部は残っている人が多いですよね。
その部分はAGAが発症しないため残るのです。
人工毛植毛ってどうなのか。
まず人工毛植毛ですが、自毛植毛と比べると、自毛植毛は植毛のもととなる髪の毛の量が決まっているので、人工毛植毛では量を気にすることなく植毛できます。これは大きなメリットのように思うかもしれません。また、手術の料金も人工毛植毛のほうが安くなります。一方で、人工毛は人体にとって異物となりますので、副作用が報告されており、男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版では非推奨となっています。人口毛の素材はナイロン、ポリアミド単繊維、ポリエステル系高分子樹脂、モダアクリル等の安全性の高い素材ではあります。また、異物と認識されるため、年月が経過すると植毛した何割かが脱毛してしまうことにもなりかねません。植毛先進国であるアメリカにおいても、人工毛植毛は法律で禁止されています。日本ではまだ禁止はされていませんが、お勧めできない治療法といえます。
では自毛植毛は
自毛植毛ですが、自分自身の後頭部や側頭部の毛髪を薄毛部分に移植することで、薄毛や禿げた部分を埋める治療法のことです。自毛植毛ですが、自分自身の毛包細胞を採取し移植し、一時的に抜け落ちはするのですが、また新たに生えそろってきます。そのため、しっかりと生えそろうまでは、期間が必要となりますが、安全に手術ができて、薄毛を根本的に改善できるという点からも、選ぶなら自毛植毛でしょう。
自毛植毛では、毛髪を「毛包」と呼ばれる組織ごとに採取をしますが、毛包を「グラフト」や「株」と呼びます。自毛植毛治療は、グラフトの採取>グラフトをはめるホールを植毛する箇所に作成する>グラフトをホールに移植するというながれとなりおます。FUE法とFUT法は、植毛に用いられる2つの主要な方法です。
自毛植毛の手法(FUE法とFUT法)
自毛植毛には大きく二つの術式があり、FUE法とFUT法があります。FUE法(Follicular Unit Extraction)は、1本1本の毛根(フォリックル)を切開して取り出す方法で、ミクログラフトやミニグラフトと呼ばれる非常に小さなグラフト(毛根の塊)を取得します。この方法では、後頭部などのドナー部位から採取された毛根を、移植先の頭皮に1本ずつ植え込むことができます。この方法は、切開が必要ないため、傷跡が目立たず、回復が比較的早いとされています。
一方、FUT法(Follicular Unit Transplantation)は、後頭部などのドナー部位から帯状に皮膚を切り取り、そこから取り出された毛根を移植する方法です。この方法では、横に長いストリップを切り取るため、後頭部に傷跡が残ります。また、切開が必要なため、手術後の回復期間が長くなる傾向があります。しかし、FUT法は、1回の手術で多くの毛根を採取できるため、移植できる毛根の量が多くなるというメリットがあります。
上記の通りFUE法は切開が必要ない手法ですが、実は、FUT法のほうが傷跡の総面積は小さいことになります。FUT法ではメスでできた傷跡を糸で縫合するため、傷跡は元の約10分の一程度になります。そのため、FUT法の傷跡の総面積はFUE法の約3分の一程度になるといわれています。
どちらの方法が適しているかは、患者の状態や希望する結果によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを考慮し、専門家の意見を聞いた上で、最適な方法を選択することが重要です。